━― mail magazine from MIDAC ―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ☆  みだコロジー2009          ☆   ☆                         ☆   ☆     〜みんなの環で地球をキレイに〜  ☆                       _____/ ━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━    ◆◇ 危険性が高い廃油の処理委託方法 ◆◇                       【2009年3月12日発行】   皆さんこんにちは。   突然ですが、とある工場から、何らかの工程で廃油が発生したと仮定します。   この廃油を分析に出した結果、引火点が75℃!   つまり、この廃油が75℃の環境にさらされてしまうと、小さな着火作用   (静電気等)により爆発、炎上してしまう可能性があることが分かります。   今回はこの様な危険性が高い廃油の処理委託方法についてふれてみましょう。   ※ 本メールは送信専用のアドレスとなっております。       ご意見、ご感想などは melmag@midac.jp にお送りください。 ===================================    <CONTENTS>    【T.「廃油」と「引火性廃油」の線引き】    【U.排出事業者のリスク】    【V.お勧め処理委託方法】    【W.まとめ】 =================================== 【T.「廃油」と「引火性廃油」の線引き】   そもそも廃油とはいかなるものなのでしょうか。   廃油とは、産業廃棄物の20種類のうちの一つで、事業活動に伴って排   出される不必要になった油のことを言います。   また、この廃油には、普通の産業廃棄物として区分されるものと、特別管   理産業廃棄物に区分されるものがあります。   特別管理産業廃棄物について良くわからない方のために、ちょっと説明し   ますね。   特別管理産業廃棄物は爆発性,毒性,感染性など、人の健康または生活環   境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものです。   そのため、特別管理産業廃棄物やそれに準ずる廃棄物については、その管   理や処分方法について、十分な検討が必要になります。   ここで、冒頭で述べた引火点75℃の廃油について見てみましょう!   廃油の場合、引火点70℃未満の廃油は「引火性廃油」になります。   (引火性廃油は特別管理産業廃棄物に分類される)   つまり冒頭で述べた引火点75℃の廃油は普通の産業廃棄物の「廃油」であ   り、特別管理産業廃棄物に指定されている「引火性廃油」ではありません。   「だったら問題ないじゃん。普通の産業廃棄物の廃油として出せばいいん   でしょ」   確かに分類上は問題ありませんが、安全面ではどうでしょうか。   危険性に関して、引火点75℃の廃油は「引火性廃油」に近いものだと感じ   ませんか? ***********************************   【U.排出事業者のリスク】   「引火点75℃の廃油が引火性廃油に近い」ということをさらに掘り下げて   みます。   分析の結果では引火点75℃と出ているものの、引火点70℃を下回ること   もあるのでは、ということについて考えてみましょう。   二つほど例を挙げます。   @排出事業者によっては工場で使う油が数種類あり、廃油が混合物にな    っているとき、排出事業者自身がどの油がどの程度の割合で混ざって    いるのかを正確には把握できない場合   A廃棄物の性状が排出する日によって変化してしまう場合   つまりサンプル採取箇所や採取日によっては引火点70℃を下回る可能   性が無きにしもあらずということです。   また、このような場合には排出事業者が廃棄物の性状を把握することが   とても困難であり、性状を開示することが難しくなります。   そしてここで排出事業者のリスクが生まれます。   廃棄物の性状を開示することは排出事業者の義務ですが、何らかの   理由により正確に開示できないような場合、事故が発生すれば排出事業者   にも責任を追求される可能性がある、ということです。   「普通の産業廃棄物として出した廃油が、特別管理産業廃棄物並みの危   険性がある・・・   廃油の性状を正確に開示している訳じゃないから心配だなぁ。   事故が起きて責任を追求されたらどうしよう」   そんな不安に、次の章でお答えします。 ***********************************    【V. お勧めの処理委託方法】   T章で述べたとおり、法律上からいえば引火点75℃の廃油は「廃油」とい   うことになります。   ですので、契約書もマニフェストも、「廃油」として記入されるべきでし   ょう。   ただし、このような特別管理産業廃棄物スレスレの場合には   ●「引火性廃油」と「廃油」両方の業の許可を持っている業者に処理委託     する   ●契約は「廃油」で結び、処理は「引火性廃油」と同等の処理を依頼する   という処理委託方法が有効です。   両方の許可を持っている業者は、「引火性廃油」と「廃油」両方の処理に   精通した業者と判断できます。   そのため、廃棄物の性状に応じ、安全性にも十分配慮した処理を行えます。   〜処理委託時の注意点〜   廃棄物処理法で定められている業の許可は、産業廃棄物と特別管理産業廃   棄物で別々にあります。   そのため、中には特別管理産業廃棄物の業の許可だけ持っていて、産業廃   棄物の業の許可を持っていない業者もいるのです。   誤ってそのような業者に「廃油」として委託をしてしまうと、無許可業者   に処理委託をしたことにより、法律違反になってしまう恐れがあります。   しっかりと相手の許可情報(両方の業の許可を持っていること)を確認す   ることが必要です。 ***********************************    【W.まとめ】   ここまで述べてきたとおり、廃棄物を適正にかつ安全に処理するためには   多くのことに配慮しなければなりません。   特に、廃棄物の性状が特別管理産業廃棄物スレスレの場合には、格別の配   慮が必要になります。   そんな時に役立つ方法として、今回のケースでは「引火性廃油」と「廃油」   両方の業の許可を持った業者に依頼する方法を紹介しました。   廃棄物を適性な処理業者に処理委託することで、排出事業者のリスク回避   にもつなげることができると思います。   今回のようなケースでは、相手の許可証をしっかりと確認してくださいね。   「許可証の確認、良し!」   今日も一日、頑張っていきましょう。 ***********************************    ■□編集後記■□   今回のメールマガジンでは引火性廃油に近い廃油についてふれましたが、   このようなケースは何も引火性廃油に限ったことではありません。   例えば、重金属がある一定の割合以上含有している廃酸は特定有害廃酸と   いう特別管理産業廃棄物になります。   そして重金属の含有率が一定割合にギリギリ達しないという場合には、上   記のような処理委託方法が有効です。   皆さん、ぜひともこの機会に処理委託方法を再確認されてはいかがでしょう。   次回は3月26日発行予定、プチみだコロジー「非食用バイオエタノール」に   ついてです。           ♪♪ お楽しみに ♪♪ .:**:.。.:*:*:.。.:**:.。.:*:*:.。.:**:.。.:*:*:.。.:**:.。.:**:.。.:**:*: ―━― mail magazine from MIDAC ―━―━―━―━―━―━―━―━―━―  ┏━━━━━━━━━━━━━○     プチ☆みだコロジー  ☆━━━━━━━━━━━━━┛ ━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━    ◆◇ 非食用バイオエタノール ◆◇                      【2009年3月26日発行】    桜のきれいな季節になってきましたね。    こんな季節に欠かせないのが「花見」そして「お酒」ですね!    真昼間から堂々とお酒を飲める機会なんてあまりないですし(笑)    ところで、お酒(アルコール)の成分は何かご存知ですか?    ・・・    実は「エタノール」なんです!    しかし、エタノールといっても、お酒になるだけではなくて、自動車    などの燃料になったりするものもあります。    その中で植物由来のものを「バイオエタノール」と呼んでいたり    します。    今回は、さらにその中でもより注目が集まりつつある「非食用バイオ    エタノール」について取り上げていきます。        ※ 本メールは送信専用のアドレスとなっております。       ご意見、ご感想などは melmag@midac.jp にお送りください。 ===================================    <CONTENTS>    【T.非食用バイオエタノールとは?】    【U.非食用バイオエタノールのメリット】    【V.現状と課題】 ===================================    【T.非食用バイオエタノールとは?】    ここ数年、バイオエタノールという言葉が話題になりつつありますね。    バイオエタノールとは、    「サトウキビやトウモロコシといった植物資源を発酵させてつくる    エタノール(アルコールの一種)のことで、自動車用燃料などとして    利用されているもの」    のことです。    つまり、ガソリンなどの化石燃料を使うことなくエネルギーを生産    できるので、化石燃料の枯渇の心配がないんです。    そして、植物由来なので、CO2排出量削減にも役立ちます。    そんなバイオエタノールの原料には2種類のものがあります。    @食用になるもの <例>トウモロコシ、サトウキビ    A食用にならないもの <例>稲ワラ、トウモロコシの茎、木材    この2つ目が今回のテーマとなる「非食用バイオエタノール」です! ***********************************    【U.非食用バイオエタノールのメリット】    では、なぜ「非食用」バイオエタノールが注目されているの    でしょうか?    その注目されている原因である、「非食用」のメリットを2つ    取り上げてみます。    まず1つ目で、何より大きなメリットが、    ◆食料問題とバッティングしない◆    ということです。    人口増加や貧富の差などにより、食料が十分に供給されない人がいる    一方で、食用になるものを燃料に利用するのはいかがでしょうか?    そんな考え方があるため、食用にもできるバイオエタノールは批判    される一方で、非食用バイオエタノールが推奨されています。    2つ目が、すべての「非食用」にあてはまるわけではありませんが、    ◆今まで利用されていなかった資源を使うことができる◆    というメリットです。    例えば、トウモロコシの茎はなかなか今まで使い道のなかったもの    でしたが、バイオエタノールとして利用することができれば、    有効活用ができるというわけです。    そんな非食用バイオエタノールですが、課題も抱えています。    次の章では、非食用バイオエタノールの現状と課題について見て    いきましょう。 ***********************************    【V.現状と課題】    現在トウモロコシは主にアメリカで、サトウキビは主にブラジルで、    バイオエタノールの原料として幅広く利用されています。    いずれも食用になるものです。    しかし、「非食用」バイオエタノールはあまり普及していません。    それでは、非食用バイオエタノールはなぜ普及していないの    でしょうか?    ・・・    それは、皆様もご察しの通り、「コスト」の問題があるからです。    今年2月に発表された、日本国内産に着目したある調査によると、    下記の3種のガソリン50L換算のエネルギーを生産するのにかかる    コストは次の通りだそうです。    @糖みつ(食用)エタノール・・・・6457円    A稲ワラ(非食用)エタノール・・・7929円    Bガソリン(ガソリン税除く)・・・3580円    *ただし、ガソリンは卸価格、その他は原料費+製造費であり、      エタノールの熱量をガソリンの7割であるとして計算しています。    *また、ブラジル産のサトウキビ(食用)エタノールは日本産の      稲ワラエタノールより安く、輸入価格(関税除く)で計算すると、      4442円となります。    現状では、ガソリンが圧倒的に安いことが分かりますが、食用になる    バイオエタノールと比べても、「非食用」は高いことが分かりますね。    「非食用」が高価格である原因には、    ●製造技術が確立していない(「非食用」の原料は現在の技術では      難分解性のものが多く、エタノール変換効率があまりよくない)    ●大規模生産ができない(「食用」の普及は先行しているが、      「非食用」はあまり普及していないがために、効率的な生産が      できず、製造コストもかかってしまう)    などがあります。    今回は日本国内の事例を見てみましたが、アメリカでもバイオ    エタノールの方がガソリンよりも製造コストが高くなっています。    しかし、アメリカでは政府の支援などを受けているために普及し、    結果的に効率的な生産体制も確立しているのです。    さて、今後非食用エタノールのコストも製造技術が向上し、下がりつつ    あるという試算もありますが、    ●U章のメリットを考えたら、多少政府が支援をしてでも普及させる      べきなのでしょうか?    この点に関しては議論の余地がありそうですね。 ***********************************    ■□編集後記■□    つい先日、某自動車メーカーや某石油メーカーなど6社が共同で    「セルロース系バイオエタノール」を効率よく製造するための組合が    つくられました。    「セルロース系」は非食用バイオエタノールの一種です。    日本はもともと米以外の穀物自給率が低く、食用になるバイオ    エタノールを製造する余地はあまりないので、「国産」バイオ    エタノールを製造するという意味においても、「非食用」は有望    なのかもしれませんね。    今後の動きに注目していきましょう!    ▼参考資料▼    社団法人アルコール協会 「図解バイオエタノール最前線」    秋田県バイオエタノール推進戦略 (http://www.pref.akita.lg.jp/      www/contents/1234758908993/files/ethanol_suisin_senryaku.      pdf#search='秋田県バイオエタノール推進戦略')    次回は4月9日発行予定、みだコロジー「2011年リサイクル問題」    についてです。           ♪♪ お楽しみに ♪♪ ...:**:.。.:*:*:.。.:**:.。.:*:*:.。.:**:.。.:*:*:.。.:**:.。.:**:.。.:*   ◆このメールマガジンの解除・配信先変更は、こちらまでお願いします。    ご意見、ご質問もお待ちしております!    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