━― mail magazine from MIDAC ―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ☆  みだコロジー2009            ☆   ☆                           ☆   ☆     〜みんなの環で地球をキレイに〜    ☆                         _____/ ━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━    ◆◇総合判断説〜廃棄物なのか、有価物なのか〜◆◇                        【2009年11月12日発行】 読者のみなさん、こんにちは!    最近、朝晩とかなり冷え込むようになりました。    暖かいお風呂に入って、体を温め、そのまま布団に潜り込む    というのが気持ちいい季節ですね♪    反面、朝はなかなか布団から出られない!という厄介な季節でも    あると思います。    朝寝坊には十分注意しましょう!(笑)    さて、みなさんは廃棄物と聞いてどのようなものを想像しますか?    汚いもの、臭いもの・・・いろいろなイメージがあると思います。    しかし、イメージとは違って廃棄物ではないと思っていたものも    廃棄物と判断されてしまうことがあります。    まず、不要となり廃棄されるものは廃棄物と有価物の    2つに分けることができます。 この2つの違いは、価値があるかないかという点です。    しかし、それだけでは廃棄物か有価物か迷ってしまうケースが    たくさんあるのではないでしょうか?    そのような時は「総合的に判断する」ことが必要になります。    今月の“みだコロジー”では、その「総合的に判断する」ということを    具体例を用いてもう少し詳しく説明していきたいと思います。    ※ 本メールは送信専用のアドレスとなっております。       ご意見、ご感想などは melmag@midac.jp にお送りください。 ===================================    <CONTENTS>    【T.総合判断説とは】    【U.占有者の意思】    【V.取引価値の有無】    【W.裁判での総合判断】    【X.まとめ】 ===================================    【T.総合判断説とは】    まずは総合判断説とは何かを説明します。    廃棄物か有価物の判断はとても難しい場合が多く、    簡単にどちらといえるものではありません。    そこで国は、廃棄物か有価物かは「総合的に判断する」としています。    検討要因として以下のことが挙げられます。    1.性状・・・・・・・・利用できる品質であり、生活環境保全上の支障が                発生するおそれがないかどうか。    2.排出状況・・・・・・需要に沿った計画的なもの、排出までに                適切な保管や品質管理されているかどうか。    3.通常の取扱形態・・・製品としての市場があり、廃棄物                として通常処理されていないかどうか。    4.取引価値の有無・・・占有者と取引の相手方の間で有償譲渡が               なされており、なおかつ客観的に見て               当該取引に経済的合理性があること。    5.占有者の意思・・・・適切に利用または他人に売却する                意思があり、放置していないかどうか。    ※参考資料(平成17年8月12日通知、環廃産発第050812003号)    以上のことを踏まえ、総合的に廃棄物か有価物かを判断することを    「総合判断説」と呼びます。    これでは少し分りづらいと思いますので    次の章からは、事例を用いて説明していきます。 ***********************************    【U.占有者の意思】    ものの価値というのは、見る人により様々です。    ある人にはただのガラクタのように見えるものでも、    ある人にはものすごく価値のある骨董品で、お金を払って    でも引き取りたい、というようなものもあります。    このようなものは実際に、売買という形で取引されているので    価値のあるものと考えることができます。    しかし、廃タイヤや木くずの保管はどうでしょうか?    占有者にとって、「燃料として」価値のあるものという    意思があっても他の人から見たら「ゴミの山」    のように見えると思います。    このように、単にその人だけにしか価値を見出すことができない    もので、売買されていなければ、「廃棄物」と判断される場合も    あります。 ***********************************    【V.取引価値の有無】    さて、自社から出たものをある業者に10円/kgで売るとしましょう。    これは双方にとって価値のあるものですので、廃棄物ではありません。    運搬経費が3万円かかるとしたらどうでしょう。    物を5000kg売るのであれば売上5万円で、運搬経費を引いても2万円の    利益が出ます。2万円の価値のあるものです。    しかし、ものが2000kgしか出ないのであれば、売上2万円で    運搬経費を引くと-1万円となってしまいます。            こうなってしまうと、このものを売るごとに赤字が出てしまいます。    売買のように見えても、実質1万円を負担しものを処理してもらって    いることになります。こうなると有価物と呼べるでしょうか?    このように売買のように見えるものでも、排出者が赤字になってでも    取引をするものというのは、廃棄物という扱いになります。    なので、運搬業者が廃棄物の収集運搬の許可を持っていなければ    無許可の業者に委託をしてしまったということになります。 ***********************************    【W.裁判での総合判断】 みなさんは「おから裁判」(最高裁平成11年3月10日) という裁判をご存知でしょうか?    この裁判は、豆腐屋がお金を支払っておからの処理を委託して    いたにも関わらず、処理を委託された業者は、    「おからは食用、肥料等として広く利用されている。    社会的に価値があり、廃棄物にあたらない」と主張し、    廃棄物処理業の許可なく営業をしていた事件です。    豆腐屋はお金を支払って処理を委託しています。    上記の通り、赤字でも取引するものは廃棄物扱いになります。    したがって、この事件ではお金を支払い処理を委託しているので    「おからは廃棄物」という判決が出ました。    しかし、その後ある事件が起き、水戸地裁でこの判決を    否定するような判決が出ました。    ある会社が、木くずをリサイクル業者に売却していました。    しかし、木材の市場価格が下がり、逆にお金を払いリサイクルして    もらうことになりました。    この場合、この木くずは廃棄物になるのでしょうか?    おから裁判の判決からすると、お金を支払って引き取ってもらって    いるので、廃棄物ということになりますよね?    しかし、この事件では有価物であるという判決が出ました。    この木くずはリサイクル目的で排出されていて、実際リサイクルも    されていました。「形式的に見れば取引価値が無く違法なことだが、    実質的にはリサイクルもされていて、社会的にも問題がない」    ということで有価物をいう判決になりました。     昔ではリサイクルされていたものでも、排出者がお金を支払っていれば    廃棄物と判断されていましたが    今、リサイクルされているものでも全て廃棄物と判断してしまうと    今の循環型社会に矛盾してしまいますね。    廃棄物か有価物かの判断は、その時代の背景も反映されます。    この事件のことはインターネットにも記事があるので    興味のある方は検索してみてください。    廃棄物か有価物かという判断は本当に難しいですね・・・。 ***********************************    【X.まとめ】 皆さん、総合判断説のことをご理解いただけたでしょうか?    廃棄物か有価物かという判断には、明確な基準がなく、    簡単に「廃棄物だ」とか「有価物だ」と言えるものではありません。    時代が変われば、価値観も変わることもあるので、    この「総合判断」はその時の状況によって結果が変わるものです。    また、都道府県や市によっても扱いが異なることもあるので    判断に迷うものは関係各所に問い合わせの上処理を行いましょう ***********************************    ■□編集後記■□    今回の“みだコロジー”「総合判断説〜廃棄物なのか、有価物なのか〜」    はいかがでしたか。    廃棄物は、様々な物が様々な状況で排出されるのでとても多種多様な    ものですね。    私もこのメールマガジンを書いて、とても勉強になりました!    「総合的に判断する」のは排出事業者ではなく、    「監督行政庁(都道府県知事若しくは政令市長等)」が判断    するので、困ったときは県や市に問い合わせてみると    いいと思います。    次回は12月10日発行予定、    みだコロジー「廃棄物の区分〜産廃20種類のどれ?〜」    についてです。           ♪♪ お楽しみに ♪♪ .:**:.。.:*:*:.。.:**:.。.:*:*:.。.:**:.。.:*:*:.。.:**:.。.:**:.。.:*   ◆このメールマガジンの解除・配信先変更は、こちらまでお願いします。    ご意見、ご質問もお待ちしております!    (メールマガジン送信元アドレスには返信しないで下さい。)   ⇒ melmag@midac.jp   ◆バックナンバーはこちらからご覧ください。     ⇒ http://www.midac.co.jp/jp/mllist/ .:**:.。.:*:*:.。.:**:.。.:*:*:.。.:**:.。.:*:*:.。.:**:.。.:**:.。.:*    <みだコロジー2009>     発行日:毎月第2木曜日     発行元:株式会社ミダック    株式会社ミダック    静岡県浜松市東区有玉南町2163番地    TEL: 053-471-9361 FAX: 053-471-9373    URL: http://www.midac.co.jp/    ミダックグループは、水と大地と空気そして人、すべてが共に栄える    かけがえのない地球を次の世代に美しく渡すために、その前線を担う    環境創造集団としての社会的責任を自覚して、地球にやさしい廃棄物    処理を追及してまいります。   ※掲載された記事・情報を許可なく転載することは固く禁じますが、    メールを職場の同僚やご友人に転送していただくことは大歓迎です! ――― Copyright(C)2006-2009 MIDAC CO.,LTD. All Right Reserved.――――