━― mail magazine from MIDAC ―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ☆  みだコロジー2010            ☆   ☆                           ☆   ☆     〜みんなの環で地球をキレイに〜    ☆                         _____/ ━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━―━    ◆◇ 廃掃法改正 〜基礎知識〜 ◆◇                        【2010年7月8日発行】    読者の皆さん、初めまして! 今年の4月にミダックの一員になりました新入社員です。    今月号よりメルマガの発行を担当いたします。    廃棄物に関してはまだまだ勉強を始めたばかりですが、    明るく楽しく学んでいきますので宜しくお願いいたします。        季節は夏に入り、例年の如く富士山が山開きとなりましたが、    廃棄物業界には他にも有名な山があるんです。    その山は、平地の中に不自然な山が急激に盛り上がっていて、    その横からドラム缶が顔を出しているところもあります。    そう、もうお分かりの通り不法投棄の山です。    なんと平成20年度における不法投棄は約20万トンにも及びます。    これは10トンダンプ車で20,000台分です。    毎日約55台分がどこかで捨てられている計算になります。    こうした現状を受け、国は平成20年から現行の廃掃法の改正に      取り組んできました。先の国会で成立した法改正によって、 廃棄物を取り巻く環境は大きく変化していくことは間違いありません。    そこで今回のメルマガでは、【廃掃法改正〜基礎知識〜】と題して、    廃掃法改正の概要を取上げます。    廃掃法はとても複雑な法律なので、まずはこのメルマガを通して、    法改正についての前提知識を皆さんとご一緒に勉強できればと思います。       (改正法案の詳細な内容に関しては、来月号以降で取上げていきます    ので、お楽しみに♪)        ※ 本メールは送信専用のアドレスとなっております。      ご意見、ご感想などは melmag@midac.jp にお送りください。 ===================================    <CONTENTS>     【T.廃掃法の目的】    【U.現行の廃掃法における課題】    【V.法改正の内容】    【W.課題と改正案の比較】    【X.まとめ】 ===================================    【T.廃掃法の目的】          さて、今回の廃掃法の改正について説明する前に、    廃掃法の目的について見てみましょう!        廃掃法ではその目的を次のように定めています。    第一条 この法律は、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の        適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、        並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全        及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。    これまでも、時代の変化に合わせてこの目的を達成するために    法律の改正が行われてきました。    今回は、廃棄物の不適正処理、許可制度における手続き負担、低炭素    社会に向けた取り組みが不十分等の課題から改正が行われました。    それでは、次章で具体的な課題についてご紹介します。 ***********************************    【U.現行の廃掃法における課題】        廃掃法は時代ごとの社会的要請に合わせて、適宜改正が行われて    きました。    では、現行の廃掃法における課題とは何でしょうか?    一緒に確認してみましょう!    (以下の本章の内容は、廃掃法改正の準備段階として、環境省の    「中央環境審議会」がまとめた報告書の内容を参考にしています)          @排出事業者責任が徹底されていない     自ら処理による不適正処理や、不適正処理を行っている処理業者     の実態を把握せずに、委託を継続する行為が未だ頻繁にみられます。   特に建設系廃棄物に関しては、排出事業者責任の所在が不明確な     部分があり、不適正処理を招いています。    A業許可制度の整備が進んでいない     不適正な処理業者等へのふるい分けが十分ではなく、また     収集運搬業の許可手続きの負担が、優良事業者への足枷と     なっている現状があります。        B廃棄物処理施設や最終処分場への不信感     ゴミが集まる廃棄物処理施設に対して、地域住民等の不信感は強く、     また搬入される廃棄物の分別も徹底されていません。     そのため、処理施設・最終処分場の新規立地が困難となっています。    C不法投棄問題     不法投棄の件数・量ともに減少傾向にあるものの、監視体制が不十分     であり、不法投棄自体の撲滅や残存件数の大幅減少には至っていません。           D処理困難物対策を推進する必要性     一部処理困難物について引き続き調査を行い、適正処理に向けた     体制作りをしていく必要があります。    E排出抑制と循環的利用徹底が不十分     廃棄物排出量はほぼ横ばいであるため、まずは排出抑制を徹底し、抑制     できないものについては、循環的利用を推進するための制度を充実させる     必要があります。    F地方自治体の運用制度における問題     住民の廃棄物に対する不信感や、不適正処理を防ぐための住民同意等     の対策に問題が生じる場合があります。     また、地方自治体による流入規制の運用制度が厳格なため、     広域に活動する優良事業者の負担となっています。          G廃棄物の輸出入に関する規制整備     国際的な資源循環と適正処理の視点から、廃棄物の輸出入に関する     規制整備を積極的に推進していく必要があります。                H低炭素社会への統合の必要性     持続可能な社会を構築しつつ、地球温暖化対策にも取り組み、     循環型社会と低炭素社会を実現していくことが求められています。               以上が、廃掃法改正における課題となります。    それではこれらの課題に対して、    今回どのような法改正が行われたのでしょうか。    次の章で見ていきましょう。   ***********************************    【V.法改正の内容】        今回の廃掃法改正において、U章の課題に対して以下のような    改正が行われました。        @の課題に対して     ・廃棄物の事業所外保管の届出を義務化     ・委託先の廃棄物処理状況を確認することを努力義務化     ・排出事業者のマニフェストの管理責任範囲の拡大     ・廃棄物の処理が困難になった際の、委託業者から排出事業者      への情報通知及び通知の写しの保管を義務付け、      かつ通知を受けた排出事業者の適切な措置を行うことの義務化     ・排出事業者の定義を明確化(建築廃棄物)        Aの課題に対して     ・許可の連鎖取消条件の改善     ・優良処理業者に対し、産業廃棄物処理業の許可有効期限を伸長        Bの課題に対して     ・廃棄物処理施設設置者に対し、定期的に行政から検査を受けるこ      とを義務化     ・廃棄物処理施設の維持管理体制を確保するための対策を強化        Cの課題に対して     ・土地所有者等に対し、不適切に処理された廃棄物を発見した際の      行政への通報を努力義務化     ・行政権限の強化(措置命令・立入検査等の対象を拡大化)     ・罰則の強化、および追加        Dの課題に対して     ・なし        Eの課題に対して ・多量排出事業者計画の提出を強化     ・再生利用認定等の環境大臣認定制度ついての環境省の監督権限      の強化        Fの課題に対して     ・なし        Gの課題に対して     ・廃棄物を輸入出来る者の範囲拡大        Hの課題に対して     ・廃棄物熱回収事業者の登録制度を創設       以上の内容が今回の廃掃法改正の主な項目になります。    概要のピックアップなので、細かくみればまだまだポイントは沢山    あるかと思いますが、大まかな流れは理解して頂けたでしょうか。 ***********************************    【W.課題と改正案の比較】    さて、U章では現行の廃掃法上での課題を整理し、V章で実際の改正案    について概要を紹介しましたが、課題で出ているにも関わらず改正に    反映されなかったものがあることに気づかれたでしょうか?    (ただし、省令・政令等によって考慮される可能性はあります。)    そうです【地方自治体の運用制度における問題】については、今回の    法改正では、反映されていないように見えます。    この理由としては、あくまで予想(そして、若干の期待を込めて)    ですが、国は地方分権の流れに配慮し、地方自治体が条例や規則等で    独自に実施している政策の詳細な情報収集と実態把握をしてから、    実態に沿った形での対策に踏み切るつもりなのでは?と予想できます。    一方で、今回事前に課題として挙げられた「排出事業者の定義の明確化   (建設廃棄物)」は、そのまま改正案に盛り込まれています。    これについては、不法投棄の大部分が建設系廃棄物であることを鑑みて    国も特に重要視しているものと推察されます。    従って、今後、廃棄物分野における法体系・運用体系等の整理が進んで    いく中で同様の問題が生じた場合、排出事業者の定義の明確化が迅速に    行われることに注意する必要があるのではないかと思われます。    なお、処理困難物対策の推進については、「中央環境審議会」がまとめた    報告書上でも、引き続き調査が必要な課題として捉えられています。    したがって、今回の改正法案には盛り込まれなかったと思われます。 ***********************************    【X.まとめ】    ここまで廃掃法の改正内容について、環境省の報告書とも比較して    見てきました。    全体的には、排出事業者責任の徹底を求めている内容が多いので、    今後はより高い意識での廃棄物管理が必須となることでしょう。    そして改正廃掃法は公布の日から1年以内に施行となりますので、    今年はまず新たな内容を把握し、対応していく期間となります。    ただし未だに検討中の内容もありますので、今後も廃掃法改正の    動向に注視していくことが必要ですね。     ***********************************    ■□編集後記■□    今回のみだコロジーは廃掃法改正という難しいテーマでしたが、いかが    でしたでしょうか?    このメールマガジンを作成するにあたり、廃掃法を扱ったことは大変    勉強になりました。    廃棄物処理業者の社員として、まだまだ勉強が足りませんが、仕事を    通じて学んだことを以降のメルマガにしっかりと盛り込んでいきたいで    す。    来月以降も廃掃法改正に関連したテーマをお送りしていきます。    次回は8月12日発行予定、 みだコロジー「廃掃法改正 〜適正な自ら処理の確保〜」についてです。           ♪♪ お楽しみに ♪♪ .:**:.。.:*:*:.。.:**:.。.:*:*:.。.:**:.。.:*:*:.。.:**:.。.:**:.。.:*   ◆このメールマガジンの解除・配信先変更は、こちらまでお願いします。    ご意見、ご質問もお待ちしております!    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