廃棄物一貫処理体制を基盤にした自社開発とM&Aで
業界屈指の総合廃棄物処理企業へと進化します。
- 事業環境の変化とその対応について教えてください。
- 地震や台風など自然災害の増加により、企業の事業継続リスクが高まっています。こうした自然災害による事業への影響を最小限に抑えるために、当社グループでは2007年から、災害発生時における事業の早期復旧を図るBCP(事業継続計画)を策定して活動してきました。2021年度には改めてBCPプロジェクトチームを立ち上げ、大幅にBCPの内容と手順を見直しました。
今後の対策として、全社的なBCPの強化に加え、リスクが高い施設への個別対応、災害時における外部協力先との連携体制の強化、重要施設の復旧プランニングを実施します。さらに、的確に対応するための訓練を実施し、最終的にはBCM(事業継続マネジメント)への移行・強化を目指します。
また、物価上昇による業績への影響は当社も例外ではありません。当社グループは、原材料等の高騰に伴う処理費用の上昇に対しては、お客様とのコミュニケーションを丁寧にとりながら価格転嫁を進めることで、適切な収益を確保しています。 - 2025年3月期中間期の取り組みと業績をお聞かせください。
- 引き続き収集運搬から最終処分までの廃棄物一貫処理体制を基盤としながら、現在進行中のオーガニックグロースの実践、特に成長エンジンである奥山の杜クリーンセンターにおける廃棄物受託量の拡大に努めました。加えて、2025年3月期中間期は、前期にM&Aをした遠州砕石株式会社(砕石製造業)、株式会社フレンドサニタリー(一般廃棄物収集運搬業、し尿収集運搬業)の業績が通期にわたって寄与したこともあり、売上・利益ともに過去最高を更新しました。
また、当社グループはリサイクル事業への取り組みを公表していますが、その第1弾が2030年以降に大量廃棄が見込まれている太陽光パネルのリサイクルです。連結子会社の株式会社ミダックこなんが「太陽光パネル アルミフレーム・J-Box分離装置」を導入し、太陽光パネルのリユース、リサイクルを含めた資源循環に関するビジネス機会を創出しています。また、当社は、太陽光パネルに関する知見が深いテラレムグループ株式会社と「資源循環の共同事業化に関する基本合意書」を締結しました。本提携によって両者の強みを最大限に活用し、資源循環技術の開発や適正な処理を通じて、持続可能な循環型社会の構築に向けた体制の整備を進めてまいります。 - 長期ビジョン及び中期経営計画について教えてください。
- 成長投資としては最終処分場と中間処理施設を中心に、自社による開発と積極的なM&Aの両輪により、経営資源の強化に向けた最適な投資を進めてまいります。
2027年3月期には、第1次中期経営計画のゴールとしてオーガニックグロースでの売上高100億円、経常利益50億円を掲げ、進捗状況としては順調に推移しています。今後は成長エンジンである奥山の杜クリーンセンターの廃棄物受託量の増加を目指し、販路拡大に向けた営業活動を推進してまいります。
オーガニック投資については、管理型最終処分場遠州クリーンセンターにおける埋立容量の増量計画に関する産業廃棄物処理施設変更許可証を浜松市より受領しました。また、安定型最終処分場浜名湖クリーンセンターについても、埋立容量の増量に向けた手続きを進めております。当社グループは、今後見込まれる旺盛な埋立需要に対応すべく、より精緻な搬入計画のもと、最終処分場における事業価値の向上に努めてまいります。
「廃棄物処理」と
「環境問題」双方の視点で
持続可能な社会の実現に貢献します。
新規水処理施設への投資計画は、2024年7月24日付で浜松市より設置許可証の交付を受けました。新規水処理施設は、既存施設の約5倍の処理能力を計画しており、2026年4月以降の開業に向け、現在工事を進めています。
- 持続可能な社会の実現やサステナブル経営などについてお聞かせください。
- 経済成長や人口増加、地球温暖化による気候変動などで、環境問題は深刻化し、企業はサステナビリティ課題への対応を迫られています。当社としても、環境保全と公衆衛生の両面を重要視しつつ、事業を運営していく必要があります。
このような状況の中、当社グループは廃棄物の減容化・減量化のために、焼却施設を長年運営しています。つまり、カーボンニュートラルの流れにある中で、廃棄物を燃やし、CO2を排出するということは、環境保全という観点では厳しい状況にあると言えるでしょう。一方で、公衆衛生の観点からは、焼却施設はなくてはならない存在であると言えます。
ここで少し話の角度が変わりますが、最終処分場の残余年数は全国では約20年、関東に至っては残余年数が約13年となっています。このままの経済活動を継続すると、約20年後には、行き場をなくした廃棄物が街中に溢れかえるようなことになりかねません。つまり、公衆衛生の観点からも最終処分場はなくてはならない存在であり、最終処分場を延命化させるためには、受け入れる量を減らしていく必要があります。ここで重要な役割を担うのが、前処理工程としての焼却となります。前処理工程で焼却を入れると、ゴミは燃えるので灰になって廃棄物の容量は減ります。こうしてゴミを減量化することで、最終処分場を延命化することができるのです。つまり、最終処分場の延命化、公衆衛生の維持の観点からは、焼却施設は重要な存在であると言えるのです。
ただし、世間がカーボンニュートラル実現に向けて動いている中で、「公衆衛生の維持」を盾にし、CO2を出し続けるわけにはいきません。このような中、当社グループは、焼却で発生したCO2を大気に放出することなく有効活用する研究に取り組んでいます。その1つが、株式会社アルヌールとの共同研究で、焼却由来のCO2を活用した微細藻類の培養で市場価値の高い「フコキサンチン」を生産し、経済性を確保しながら焼却由来のCO2削減を目指しています。また、新たにフコキサンチンの効果を確認するため、佐賀大学農学部川添嘉徳准教授と共同で、微細藻類からフコキサンチンを高純度で精製する手法を開発します。純度を高めたフコキサンチンを使用して生活習慣病を予防する効果などを検証します。当社グループはさまざまな分野のエキスパートと協力して、公衆衛生の維持を図りながら、CO2削減などの環境問題に対して真摯に取り組んでまいります。 - ステークホルダーの皆様へメッセージをお願いします。
- 当社グループは、経済や市場環境、社会における価値観の変化に対応していくことで、中期経営計画を着実に実践し、サステナブル経営も追求し続けていきます。「人々の暮らしに欠かせない社会インフラとして、未来に続く廃棄物処理を実現する」という当社グループのパーパスのもと、企業価値の向上を目指してまいります。
水・大地・空気を未来につなぐミダックグループのさらなる発展のために、なお一層のご支援・ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
株式会社ミダックホールディングス
代表取締役社長